KG Club Note
理科好きでも理科の仕事は選ばない?
―TIMSS2023が示す課題―
理科は好き。でも将来にはつながらない――そんな子どもが少なくありません。
国際数学・理科教育動向調査(TIMSS2023)では、「数学や理科を使うことが含まれる職業に就きたい」と答えた日本の中学2年生は27%にとどまり、国際平均の58%を大きく下回っています。この結果は、理科の学びが将来の進路と十分に結びついていないという課題を示しています。「理科を使う職業」と聞くと、科学者や研究者、医者を思い浮かべがちですが、実際にはエンジニア、データサイエンティスト、環境や食品の専門家、医療技術者など、多様な職業が理科と深く関わっています。
KGC科学教室では、科学工作や実験を通して、学校で学ぶ理科が社会の中でどのように生かされているかを伝えることも大切にしています。理科の世界を広げることは、子どもたちが理科の学びを「自分の未来」と結びつけることにつながり、未来の選択肢を広げる第一歩になると考えています。
・TIMSS2023の調査結果
〇誰もが、身近な科学を楽しめる文化
今年度は、「青少年の科学教育の普及・啓発活動」をテーマに、さまざまな活動に取り組んできました。その一環として、昨年6月、KGCボランティア活動で社会福祉協議会にて、「お孫さんと科学的なおもちゃで遊ぶための科学工作教室」の出前講座を開催しました。
当日は、高齢者の皆さんが〈ベンハムCDコマ〉や〈ニュートンCDコマ〉の科学工作に熱心に挑戦され、完成後にはCDコマの回転時間を競う、楽しいミニミニ大会も行いました。スタッフの方による明るく丁寧な司会進行のおかげで、会場は終始なごやかな雰囲気に包まれ、「身近な科学」と「コマの回転競争」を笑顔で楽しむ時間となりました。年齢を問わず、誰もが、どこでも身近な科学に触れ、楽しめることは、日々の暮らしをより楽しく、心豊かなものにしてくれる第一歩になります。(2026.02.28)
書籍『目指せ!科学者5』(発行・発売:株式会社北野書店)の紹介
本書では、科学技術の発展に大きく貢献した研究者に贈られる「向井賞」を受賞した2名の科学者を取り上げ、日本の最先端研究をわかりやすく解説しています。
さらに、研究者を目指す学生に向けて、大学の研究室の様子や先輩からのアドバイスなども紹介されており、「理系に進んだその先の世界」を具体的にイメージできる内容となっています。さまざまな分野で活躍する研究者へのインタビューも掲載されており、進路を考える上で大いに参考になります。
本書の中で特に印象的なのは、研究職を三つに分けて説明している点です。すなわち、大学の研究者は「0を1にする」、企業の研究者は「1を10にも1000にもする」、そして公的機関の研究者は「それが本当に1なのか、10なのかを確かめる」というものです。それぞれの立場の違いが、具体的な研究事例とともに理解できる構成になっています。
理科が好きな人はもちろん、これから進路を考える中学生・高校生にもぜひ手に取ってほしい一冊です。
(出版年月日:2025年12月7日)
書籍『目指せ!科学者4』(発行・発売:株式会社北野書店)の紹介
本書では、「教えるのではなく『科学はおもしろい』と感じてもらいたい」という理念のもと、長年ボランティア活動を続けている団体の取り組みが紹介されています。あわせて、世界の最先端で活躍する研究者やその研究内容、研究室訪問、学生インタビューなども収録されており、理系をめざす青少年が将来の姿を具体的に思い描ける内容となっています。
研究者インタビューの中には、心に残る言葉も多く掲載されています。たとえば、東京都立大学 井上晴夫教授 は次のように語っています。
「興味が持てることを一生懸命やること、それが一番ですね。…欠点があっても、自分の好きなところ、得意なところをどんどん伸ばしていけば、その欠点は目立たなくなります。本当に好きなことを、人の目を気にせず、とことんやってほしいと思います。」
こうした温かく力強いメッセージにふれながら、研究者になるために大切な姿勢を学ぶことができます。
理科が好きな人はもちろん、これから進路を考える中学生・高校生にもぜひ読んでほしい一冊です。
(出版年月:2025年6月)
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オポチュニティ火星着陸を見学し科学者の道を 1月24日(2004年)その2
高校生のアビゲイル・フレーマンは、NASAジェット推進研究所に招待され、火星探査機オポチュニティの着陸の瞬間に立ち会いました。無事着陸の信号が届いたとき、管制室に広がった緊張と歓喜――その熱気を、彼女は目の当たりにしたのです。
第14回科学教室でもNASAの映像を通して、同じ瞬間のスタッフの興奮を体験しましたが、彼女はまさにその現場にいた一人でした。この体験が、彼女を惑星科学の道へと導きます。セントルイス・ワシントン大学で地球惑星科学の博士号を取得後、火星地質学者として研究を重ね、やがてJPLへと戻ります。そして、オポチュニティの科学チームを率いる立場となりました。
現在は、火星探査車キュリオシティの副プロジェクトサイエンティストとして活躍しています。
彼女の原点には、タコマ・パーク中学校やモンゴメリー・ブレア高校で出会った、理科やコンピュータサイエンスの先生たちの存在がありました。そこに、この特別な体験が重なったことで、科学への興味は確かな志へと変わっていったのです。
【さらに詳しく】
☞ 「アビゲイル・フレーマン」
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オポチュニティ火星着陸 1月24日(2004年)その1
火星探査機「スピリット」は1月3日に、「オポチュニティ」はその後に火星へと着陸しました。2機は双子の探査車として、岩石や土壌を分析し、多くの画像を地球へ送り続けました。
第14回科学教室では、火星着陸の難しさについて考えましたが、彼らの着陸方法は非常にユニークなものでした。探査車はエアバッグに包まれた状態で火星表面に到達し、約30回もバウンドしながら減速して停止します。その後エアバッグの空気が抜け、機体が姿を現す――まさに劇的な着陸成功でした。
このミッションの目的は、かつて火星に水が存在した証拠を探すことでした。そしてその成果について、マット・ゴロンベックは「私たちの双子の探査機は、かつて湿潤な火星が存在したことを示した最初の探査車です」と述べています。実際に2機は、火星に水が流れていた痕跡を示す重要な証拠を発見しました。
現在、鹿児島市立科学館では、3月29日まで企画展「火星探査〜火星を見つめ、訪れ、夢を抱く〜」が開催されており、バイキング探査機やキュリオシティの模型などが展示されています。
人類はいつの時代も、まだ見ぬ世界へ挑み続けてきました。未知の場所への探査は、人々の心をひきつけ、未来への夢を大きくふくらませてくれます。
【さらに詳しく】
☞「着陸から20年:NASAの双子の探査車が火星科学をどう変えたか」
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フーコーの振り子を公開実験 1月8日(1851年)
フランスの物理学者 レオン・フーコー は、地球が自転していることを実験によって直接示すという、歴史的な観測に成功しました。パリのパンテオンの天井から重さ28kgのおもりをワイヤーで吊るし、大きく振らせることで、振り子の振れる向きが少しずつ変わっていく様子を示したのです。これは、地球が回転している証拠でした。
昨年10月に訪れた 国立科学博物館 でも、フーコーの振り子が展示されており、その動きを通して地球の自転を目で確かめることができました。
また、長崎県の 福済寺 にも、平和への願いを込めたフーコーの振り子が設置されています。ただし、市の観光課によると、現在は経年劣化のため動作調整中とのことです。
本来は目に見えない地球の動きも、人間の知恵と工夫によって“見える現象”としてとらえることができます。この偉大な実験にちなみ、1月8日は「地球自転の日」とされています。
【さらに詳しく】
☞「フーコー振り子ひとつばなし」
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ガリレオ、木星の衛星を発見 1月7日(1610年)
ガリレオ・ガリレイ は望遠鏡を用いた観測によって、木星のそばに小さく明るい天体がいくつも存在することを発見しました。はじめはそれらを恒星と考えていましたが、毎日観測を続けるうちに、それらが木星のまわりを回っている「衛星」であることに気づきます。
当時は天動説が広く信じられており、「天体を従えるのは地球だけ」と考えられていました。しかし、木星にも衛星が存在するという事実は、その常識を大きく揺るがすものでした。
この発見は、やがて天動説から地動説へと考え方が転換していく重要な一歩となったのです。
【さらに詳しく】
☞ NASA:410年前,「<ガリレオ>木星衛星発見」
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